『モーリー』(北海道新聞野生生物基金/700円)
 襟裳岬風の館の石川慎也さんが、漂着物の記事を書かれたということで、『モーリー』という雑誌の第20号を送って下さいました。この雑誌は、北海道新聞社に設けられている北海道新聞野生生物基金という財団法人が、北海道の自然をテーマに年に4回ずつ刊行している雑誌です。20号は北海道の海岸がテーマになっていて、地形に始まり、動物、植生、クジラ、油流出事故、松浦武四郎による探検など、幅広いテーマから、北海道の海岸線の魅力が紹介されています。漂着物では、オオバンヒザラガイの殻のような北海道らしいものもあり、一方で近年、南方からの漂着果実が増えていることが紹介されています。印象深く見たのは、表紙の写真でした。野付半島の付け根部分の航空写真ですが、陸側は原野が広がって川が大きく蛇行して流れているのに、海岸線はテトラポッドや離岸堤で人工化が著しく進んでいるようすが見てとれ、北海道でもこうなのかと思いました。本誌は、19号では里山、18号で博物館、17号で外来動物がテーマにされていて、それぞれ興味をそそれます。こうした形で、地域の自然史についての定期的な刊行物が出されているのは、北海道の魅力的な自然環境という要素もあるのでしょうが、貴重なことだと思いました。財団については下記のURLを参照してください。http://www.aurora-net.or.jp/nature/yasei/ (2009/9)