『とうきょうのカモたち(カモ・シンポジウム報告書2007)』(日本野鳥の会東京支部編/1000円)

   05年と06年の2回にわたって東京支部主催で開催されたカモシンポジウムの報告書がまとめられました。東京のカモが減っているという問題意識に基づいて開かれた催しで、長年にわたる各地での個体数調査の結果が報告され、その変動についてさまざまな考察が展開されています。自分としては、身近な場所での印象から、全体的にカモが減ったという認識が薄かったのですが、各地の表を比べていくと、減少傾向にあることは確かなようです。その原因については、鳥獣保護区の拡大による分散、温暖化による南下個体数の減少、餌付けの減少による影響などがあげられていますが、全体像を論じるにはまだ、情報不足なようで、今後のさらなる議論が期待されます。30年を越える定期的な観察データが蓄積されている場所が多くなっており、ようやく長期的な情報が得られてきたと感じたことでした。報告書の入手についての問い合わせは、日本野鳥の会東京支部研究部まで。

 http://homepage2.nifty.com/tokyo-birdstudy/ (2008/1)