『植物の生活型の話』(岩瀬徹著/全国農村教育協会/1500円+税) 

 今月は、植物の講座を開いたので、何か新しい勉強をしたいと思い、この本を読んでみました。生 活型というのは、形態で植物を分類するのではなくて、その形、越冬する姿、繁殖のし方、果実の散布方法など、くらし方に注目して整理をしていく方法です。この本では、独自の生活型の類型を提案され、それを生態学的な調査に活用された沼田真氏や、多くの植物の形態をくらし方が理解できる形で精密に図解された浅野貞夫氏などの先人の仕事を紹介しながら、生活型という切り口で植物を観察する面白さを紹介しています。生活型について紹介するには、植物を暮らしぶりから観察することの面白さ、生活型への類型化、類型化を用いた生態調査の方法の3つの要素が不可欠だと思いますが、この本では、類型化の紹介に重点が置かれすぎていて、なぜその類型化が必要なのかについて説得力が弱いように感じました。別の言い方をすれば、あちこちのページに顔を出している、暮らしぶりを観察することの面白さに着目して読み進めるのがよいのではないかと思います。また、越年草と二年草を分けて考えるべきなど、具体的な観察に基づいた著者の主張には耳を傾けるべき点が多くあります。(2007/7)