『しでむし』(舘野鴻著/偕成社/1800円+税)
 雑木林に暮らすヨツボシモンシデムシを主人公にした絵本です。シデムシは、ファーブル昆虫記では、重要なスターとして光があてられていますが、日本ではなぜかあまり注目されず、その生活ぶりを描いた本に出会ったことがありませんでした。それだけに、本書は非常に興味深く、アカネズミの死体をダンゴ状にして土に埋めていくようす、親虫による保育、幼虫の成長などを、情報としても面白く見ていきました。自然のつながりに気づく絵本として、ぜひ多くの子供たちに見てほしいと思います。柔らかな筆致は、死体のように人によっては少々気味悪く感じるものも、抵抗なく見せてくれるでしょう。巻末の解説で、シデムシによくついているダニはシデムシ自体に寄生しているのではなく、死体にたどり着くための乗り物に利用していることを初めて知りました。(2009/5)