『クジラとイルカ』(山田格・大越和加総監修/偕成社/4500円+税)
 小中学生向けのビジュアルな大型本で、クジラ・イルカ類を主人公として、その分類や生態、それらをとりまく海の動植物や生態系、さらには海と陸の自然のつながりや水の循環、地球環境などについて幅広く解説した内容になっています。全体に、神経の行き届いた丁寧な編集がされていて、テキストも分かりやすく、特にイラストと写真のバランスがよいと感じました。イラストも、図鑑的な細密なものと、漫画的で親しみやすいものが使い分けられ、楽しくページをめくっていくことができます。また、たとえばマッコウクジラにデータロガーを装着して得た潜水のデータのように新しい研究成果も随所に紹介されていて、大人が読んでも大いに勉強になります。捕鯨については、ほんのわずかしか触れられておらず、それも一つの考え方だとは思うのですが、そのためにクジラ類の保護についての具体的な記述が不十分になった感じがしました。(2009/5)