『草花遊び図鑑』(小林正明・小林茉由著/全国農村教育協会/1500円+税)
 四季を通じた自然の中での100テーマの草花遊びを紹介した本です。その中には、スズメノテッポウの穂で作る笛やイヌタデを赤飯のしたままごとのように、伝統遊びの系統に入るものもあれば、花や葉にマジックで顔を描くような今風の新しい遊びも、あぶり出しやミカンの皮を使った花火のように理科的なものもあり、また食べられる花や実の紹介もあって、幅広い内容になっています。おそらく著者等のオリジナルな工夫もふくまれているように思えます。著者の一人、小林正明氏が『日本の秋の虫』などの著作がある直翅類の研究者として著名な方であることに気づいたのは読後のことでしたが、長年理科教育の現場におられた方なので、生物学的にも安心して読んでいくことができます。それらの遊びが、絵本サイズの大きさに、美しい写真と可愛いイラストで紹介されているので、非常に親しみやすく、使いやすそうな本になっています。幼稚園や小学校で役に立つ実践的なマニュアルと言えるでしょう。こうした草花遊びを通じて、「自然に対する感性がみがかれ、命をいつくしみ、自然環境の変化に敏感な心が育つと思います。そんな子供に育ってほしい。」という著者等の願いに共感するものです。(2009/1)