『コウノトリの贈り物』(鷲谷いづみ編/地人書館/1800円+税)

 副題にある「生物多様性農業と自然共生社会をデザインする」という趣旨のシンポジウムにもとづいて編集された読み物です。野生復帰が計られた豊岡市のコウノトリが、野外での繁殖に成功したニュースは記憶に新しいことですが、その豊岡での実践が話題の中心になっています。平地の生きものの保全に関わっている誰もが、水田の意義と重要性に気づいていると思いますが、生物多様性に配慮した農業という言葉を口に出すことは簡単でも、農業者や行政とのパイプをいかに作っていくかという部分のハードルが高くてなかなか現実に踏み出せない思いを抱えている人が少なくないことでしょう。この本では、市役所に「コウノトリ共生部」を作ったという豊岡市長をはじめとして、行政マン、農協関係者、外食チェーンの経営者、有機農法の指導者、鳥や生物の専門家などが、それぞれの立場から、豊岡の実践や、宮城県を中心に試みられている「ふゆみず田んぼ」について元気よく報告しています。農業上の具体的なノウハウもさることながら、重要なことは農業者を中心とした地域の人たちの中でのコンセン 以下文字化け判読できず。(2008/2)