『わかる図鑑2 花木・公園の木』(金田洋一郎写真/八木下知子文/山と渓谷社/1200円+税)
 山と渓谷社から出された新たなシリーズである「わかる図鑑」の2冊目として刊行された新書版のハンディーな図鑑で、80ページの中に約160種が紹介されています。庭や公園に植えられる花木に絞っているので、代表的な種は網羅されており、実用性は高いと思いました。写真もきれいですし、花のアップの写真を使ったりして、見分けのポイントもわかりやすく示され、解説も読みやすく感じました。全体的に手慣れた編集という感じです。山と渓谷社はたくさんの図鑑を出している出版社ですが、次々に新しいシリーズを立ち上げて、花や鳥など同じようなテーマを繰り返し展開しているように見えます。いわば売れ筋ばかりを追い求めているようで、出版社の姿勢としてどうなのか、ちょっと疑問を感じました。かつての保育社が原色図鑑として網羅的な図鑑群を目指したこと、文一総合出版がハンドブックというシリーズで注目されることの少ない分類群に着目した巻を何冊も出していることなどに比べると、いささか物足りなさを感じます。そんなことも考えた1冊でした。(2010/3)