『かながわの山に咲く花』(神奈川県自然公園指導員連絡会編著/銀の鈴社/2300円+税)
 丹沢、箱根などで登山道の巡視、ハイカーへの指導などを行っている自然公園指導員連絡会のメンバーが撮影した植物の写真をフィールド図鑑として集成したもので、神奈川県内の標高500m以上の山で観察できる植物約500種が採録されています。ウスギオウレン、アリドオシランのように丹沢で発見するのはなかなか困難な種も数多く撮影されていて、特に高標高の稜線部を丹念に歩かれたことが想像できます。『神奈川県植物誌2001』に基づいた記述がされているので、図鑑としても安心して使えます。花の特徴をよくとらえた写真もありますが、いまいちと思うカットもあって、質のアップが今後の課題でしょう。また、画像の中に示されている地名が不統一なのが気になりました。保護上の配慮が必要なものは除いて、撮影日と撮影地をきちんと入れておけば、記録的な意味合いも出たのではないでしょうか。(2009/9)